スーパー・プロフェッショナル・ハイスクールを振り返って〜山形県立加茂水産高等学校〜
平成27年度から始まった文部科学省指定の「スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール」(SPH)事業も平成29年度で終了を迎えることとなりました。「社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成するための、先進的な卓越した取り組みを行う専門高校を指定して研究開発を行う」というもので、全国で30校が指定を受けていました。
加茂水産高等学校では、この3年間「海を活かす・守る・興す人づくり」をテーマに、この研究を通して地域の水産業及び関連産業、地域社会の活性化に寄与できる人材を育てるという大きな目的に向かって、生徒は先輩達の成果と課題を受け継いで、主体的に研究活動に取り組んできました。失敗してはまた新たな解決策を模索しながら、時には仲間と共に協力しあって研究を頑張ってきました。その結果、課題解決能力やコミュニケーション能力・プレゼンテーション能力などが向上しました。
また、この事業での産業界や大学、他高校等との研修、研究では共同研究やネットワークが構築され、最新の業界情報に触れるなどして大きな収穫を得ることができました。水産海洋関連産業への興味関心の向上、人材輩出にもつながりました。その中でも鮮度向上につながる「窒素水」も研究、レインボービーチでのタコによるアワビの食害の研究、日本海で獲れる紅ズワイガニやサンマを原料とした新製品開発、山形県の海洋教育の歴史の探究など、いずれも地域の課題に密着したものとなっています。
研究を進めるにあたっては、地元漁業者の方々を始め、鶴岡市加茂地区の皆様からも多くのご協力をいただいており、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。
3年間の事業の研究報告会が、去る、平成30年1月27日(土)に本体育館で行われました。当日は休日にも関わらず、田中自治振興会長さん始め、加茂地区からもたくさんの皆様にご参加いただきました。八つのグループによる研究活動報告のステージ発表に加え、16グループ(内3グループは鶴岡南高校SSHの参加)のポスター発表がありましたが、どのグループもしっかりと研究内容を発表することができました。修了後の運営指導委員会でも「生徒の発表での成果が見られ、よい方向に変容しているのが見られる」「発表がしっかりしていた。自分の将来を見据えていた」「地元の水産業の育成SPHは効果がある」「漁師への希望が多いことは喜ばしいことだ」などのご講評をいただくことができました。
今年度でこの事業は終了となりましたが、今回の取り組みでは、生徒職員は研究や発表などを通して、理解が深まり、専門分野への興味関心が高まり、意欲や自信がついてきていることを実感できました。この事業で得た沢山のことを活かし、地域に貢献出来る人材を送り出す学校として、産業界から評価され、地域に必要とされる、地域を支える学校としての存在をより確かなものにしていきたいと思います。今度とも皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。